会長挨拶

第73回日本皮膚科学会中部支部学術大会
会長 清水 忠道(富山大学医学部皮膚科学講座)

この度、2022年10月29日(土)、30日(日)の2日間にわたり、富山国際会議場において第73回日本皮膚科学会中部支部学術大会を主催する機会をいただきました。厚く御礼申し上げます。1986年に本大学の諸橋正昭教授が第37回大会を主催して以来、実に36年ぶりになります。

今回の学術大会のテーマはTime's arrow and evolution of Dermatology(邦題:時の矢と皮膚科学の進化)にしました。紫外線発がん研究の第一人者でありました、ハロルド・ブラムの名著であります「time's arrow and evolution 1951」をアレンジしたものです。皮膚科学の絶え間ない発展を願ってこのようなタイトルにしました。激しく変化する時代の中でも、私達は後退することなく常に前に向かって歩み続けていかなくてはならないという気持ちを込めています。

昨年来世界を震撼させている新型コロナ禍により、直接学会に集う機会が激減し、例外なく学術大会も影響を受けています。無論対面が望ましいものの先行きの見えない状況ですのでハイブリッド開催としますが、状況が許せば直接語らい合う場になるよう切に願います。

本学術大会では特別講演として、基礎研究ながら将来皮膚科への応用も期待できる最先端の話題について、全国の著名な先生方に講演をお願いしました。その他、各専門領域の実践的な教育講演、シンポジウムやハンズオンセミナーを企画しています。明日からの診療に直結する内容になるかと思います。

ここ10年で皮膚疾患の病態の解明は格段に進み、目覚ましい治療効果が得られるようになりました。例えばメラノーマには免疫チェックポイント阻害剤、アトピー性皮膚炎や乾癬には生物学的製剤など10年前にはなかった治療法が確立しています。一方、最新の治療は両刃の剣でもあり、患者さんの治療に対する要求も多くなっています。今大きく変容を遂げている皮膚科学の最新情報の収集の場となるよう、活発な討議を期待します。特に若い先生方が研鑽を積む場になれば幸いです。

前回に比べ、首都圏からの富山への交通アクセスは格段に良くなりました。北陸新幹線の開通にともない市内も整備され、素敵な路面電車のある街になっています。可能であれば、海山の幸の味覚を楽しんでいただけたらと思います。

多くの先生方のご参加を教室員及び学会事務局一同、心よりお待ちしております。